こんにちは。
チュニジア7日目。スースに到着して3日目の朝。この日は、日帰りでカイルアンへ行こうと思っていましたが、朝起きると体調がすぐれない・・・どうやら風邪を引いてしまったらしい。遠出をする気分にはなれず、スースでのんびりすることに。
スース3日目にして、初めてメディナ(旧市街)を散策。
メディナ全体が世界遺産に登録されているスース。メディナの入口すぐのところにはグランド・モスクが鎮座しています。
見学しようと思ったものの、ドアが閉まっていて、入っていいものかわからず、中には入りませんでした。
スースのリバト(The Ribat of Sousse)
グランド・モスクの斜め向かいにある塔を備えた堅牢な建物はリバト。
リバトは、北アフリカの沿岸部や国境に建設された、イスラムの要塞修道院のことで、防衛機能と宗教施設を兼ね備えた建造物。チュニジアで最古のアラブ建築の一つと言われています。8世紀に建設が開始され、9世紀に完成したとされており、それ以来、現在まで破壊されることなく、当時の建築を今に伝える重要な建造物だそうです。
入口には、セキュリティのための荷物チェックがあり、その先にチケット売り場がありました。入場料は8TND(2022年12月現在)。
入口を抜けると中央に吹き抜けの中庭があり、その周りを囲うように小さな部屋がたくさん配置されています。部屋の中には、修復待ち?の石や遺跡のようなものが無造作に置かれていました。
階段を上り、2階へ。2階の通路からは中庭を見下ろせます。
2階には広い部屋があり、壁にはキブラ(イスラム教徒がお祈りするメッカの方向)を示す壁の窪みミフラーブがあり、かつては礼拝堂として使用されていたのでしょう。
よく見るとここにもローマ時代の建築物から流用されたと思われる柱が使用されています。
屋上には、各方角に見張り台のようなものが設置されていて、港の方角に面した角には高い塔があります。
塔の狭い階段を上がって行くと、頂上からはスースの景色を一望できました。
南側には、なだらかな斜面にぎっしりと建物がひしめくスースのメディナが広がっています。メディナの斜面の上に見える要塞のような建物は、スースのカスバ(現在は考古学博物館として使用されています)。
写真の右下の煉瓦作りの建物は、スースのグランド・モスク。その先には、港と地中海が広がっています。
北東側は、スースのビーチが広がるリゾートエリア。どこか南欧のような雰囲気が漂う開放感あるエリアです。
リバトには、展示物はなく、あっという間に見終わってしまいました。塔からの眺めが一番の見どころでした。
スースの考古学博物館(Sousse Archaeological Museum)
リバトの塔から見ることができたカスバ(かつての城塞)は、現在は考古学博物館として使用されています。堅牢な建物で威圧感がすごい。ここも入口でセキュリティチェックがあり、その奥にチケット売り場がありました。
こちらには、スース周辺の遺跡から発見された貴重なモザイクや石像、副葬品などの考古品が展示されています。
入ってすぐのところには、スースのローマ時代の邸宅のプールに残っていたオケアノスのモザイク。2世紀中頃のものだそう。さまざまな魚介類が描かれていて、海辺の街らしさが感じられます。
階段を降りて、メインフロアの入口には、ほぼ完璧な状態の「海馬(ヒポカンパス)のひく戦車に乗ったネプチューン」のモザイク。
こちらは、たしか墓地か埋葬地から発見されたモザイク
かなり大きなモザイクがたくさんあり、海に関連したものや神話の場面を切り取ったものと思われるものが多数。1000数百年から2000年近く昔のモザイクの保存状態よさは圧巻・・・特に色が鮮明に残ってるのはすごい。
こちらは、ローマ時代の公衆浴場のテピダリウムから発見された2世紀後半のメデューサのモザイクで、かなり大きさ。モザイクの上に鏡が設置されていて、この写真は鏡越しに見たもの。こちらも保存状態が良好。
続いては、この考古学博物館の目玉の一つ、スース近郊のBekaltaのカタコンベ(地下墓地)から1993年に発見された洗礼盤。ビザンチン時代のもので、保存状態が非常によく、チュニジアの考古学史上最も素晴らしい発見の一つだそう。
一瞬生首??と思ったら、演劇で使用するマスクだそう。(記憶が正しければ・・・)
このほかにも数多くのモザイクが所狭しと展示されていて、見応え十分。自然光が入る展示室で明るく気持ちのよい空間でした。
展示室の先には、カスバの中庭があります。奥には小さな植物園。
城壁の踊り場のような場所からは、スースのメディナと港が一望できます。リバトの塔も見えました。
残念ながら、アクセスできる場所は限られていて、城壁の上は歩けませんでしたが、とっても気持ちの良い場所なので、スースの考古学博物館を訪れた際は、ぜひこちらの中庭も見学してみてください(夏はかなり暑そうですが)。
営業時間:夏09:00 – 18:00 冬09:00 – 17:00 ラマダン期間09:00-16:00
料金:10TND(2022年12月現在)
エシド邸博物館(Museum Dar Essid)
続いては、メディナの北東の城壁の内側の通り沿いにあるエシド邸博物館(Museum Dar Essid)。こちらは、かつての貴族の邸宅を利用したもので、18世紀から19世紀のスースの生活を再現した民俗博物館。
少しわかりにくいですが、一応小さな看板が出ています。
私が訪れた時は、ドアが閉まっていて、特に案内も出ていなかったので休業?と思い、諦めてトボトボ歩いていたら、近くのお家から小学生くらいの女の子が2人出てきて、「musse?」と聞くので、「うん、でも閉まってるみたい」と言うと、「大丈夫、ついてきて!」というので、一緒に博物館のドアまで戻り、女の子がドアノッカーを叩くと、中から10代くらいの女の子が出てきて入れてくれました。
見学料は5TND、写真を撮る場合は+1TND(2022年12月現在)
早速、カラフルなタイル張りの美しい内装。
連れてきてくれた女の子は、どうやらここによく遊びにくるようで、中に入ってからもずっと一緒にいて、案内してくれたり、写真を撮ってくれたり、私が興味を示して、色々見ているとその様子を見て楽しんでいるようでした。(確かに自分の文化に興味を持ってくれる外国人がいたら嬉しいよね)
ちなみによく似てるなーと思っていたら、彼女たちは双子でした!人懐っこくて、とってもかわいい。チップ要求されるかなと思ったけれど(疑ってごめんなさい)、全然そんなことはなかった。チュニジア人は本当にフレンドリーで親切。
この邸宅は、中庭を囲うように周辺に部屋が配置された典型的なアラブ建築。
壁のタイルもそれぞれに異なる。ドアフレームには、イスラムだけでなく、キリスト教、ユダヤ教のシンボルが刻まれているそう(後からガイド資料を読んで知った)。
1階には、中庭を挟んで向かい合うように第一婦人と第二婦人の部屋があり、レセプションから中庭を挟んだ対面に子供部屋が配置されてます。どの部屋もとにかくカラフルなタイル装飾や煌びやかな調度品が並んでいてまばゆい。そして、色合いがなんともカワイイ。
1階を見終わったら、双子ちゃんに促され2階に。
キッチンには、鍋や壺、スパイス入れなどさまざまな調理器具があって、双子ちゃんが「こうやって使うんだよー」って道具の使い方を見せてくれました。
2階の回廊のタイル装飾も芸術的で美しい。
オープンエアーのバーキッチンもありました。これまた素敵。
なんとオープンテラスも。もしかしたらカフェとして営業してた?もしくは、してることもあるのかしら。眺めも最高。こんなところで、お茶でも飲みながらのんびり過ごしてみたいもんだ。
写真右の塔にも登ることができます。
この塔は、かつては月の位置によりラマダンの初日を決定するために使用されていたのだとか。海抜65mに位置し、町(メディナ?)で灯台に続く2番目に高い場所なのだそう。
塔からは、360度スースの街並みと海岸線、地中海を見晴らすことができました。
まとめ
スースのメディナは路地散策だけでも十分に楽しめますが、時間に余裕があれば上記のどれか1ヶ所だけでも訪れてみてはいかがでしょう。
リバトは、建物内はガランとしていて、正直建築によほど興味がない限り、あまり見どころはありませんが、塔からの眺めは一見の価値あり。時間がなければ、手っ取り早くリバトの塔に登ってみるのもありかと。考古学博物館の精巧なモザイクの数々も見応えあり。エシド邸博物館はとにかく華やか!一番親しみやすいかも。どの施設もチュニジアの歴史と文化を感じられ、それぞれに違った楽しみがあるかと思います。
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